約半数の方は、虫歯が進行して神経が炎症を起こすことによって痛みが出ます。
しかし、残りの半数の方は神経の無い歯が痛みを出すことによって来院されます。
このような場合、
「神経ない歯が、なぜ、痛むのですか?」
と言う疑問を必ずお持ちになると思います。
実は歯が痛いのではないのです。歯の周りの組織が痛んでいるのです!
エックス線写真は20代男性のものです。
「何もしなくても腫れぼったく痛い。咬んだり、物が当たったりするとひどく痛い」
と言うことで来院されました。

緑の矢印が指し示している黒い影は化膿した部分です。
歯が痛んでいるのではありません。歯の先に出来た膿み袋が傷んでいるのです。
爪を想像してください。爪には神経がありませんが、深爪をすると痛みます。それと同じことなのです。青矢印も膿み袋ですが、緑矢印のものほどではありません。
神経を取った後に薬を詰めるのですが、薬は所詮人工物ですので、天然の神経ほどには体に適合しません。
そのため人によっては、ほんのわずか、いつも炎症を起こしています。
過労などで抵抗力が弱まると、この炎症が強くなり、痛みが出ます。
この患者様も連日の仕事によって抵抗力が弱まり、痛みが出たと思われます。
そこで膿み袋をつぶし、汚染物質をかき出す治療を始めました。

唾液の中には様々な菌がいます。
歯の中に雑菌が入らないようにするために、ゴムのシート(ラバーダム)をかけました。
非常に歯の治療の衛生面において便利なものなのですが、崩壊した歯にはゴムも金具もかけられません。
拡大した写真です。

歯自体も虫歯でかなり傷んでいます。
しかし、何とか残そうと思っています。
このような場合、被せ物が入るまでの治療回数は、当医院の場合順調に行って6回くらいです。
同じ日に治療した別の患者様の写真です。

唾液が入らないようにゴムのシート(ラバーダム)をかけてます。

最終的な薬を詰めたところです。
エックス線写真です。

緑矢印の指し示す、歯の根の先まで薬が入っています。
しかし、それでも菌が生き残っている場合があります。
どんなにすばらしい治療をしても、天然の物にはかなわないことを御理解下さい。
そのためにも治療より予防なのです。
オペラデンタルオフィス 日本補綴歯科学会認定医
静岡県浜松市にある日本補綴歯科学会認定医(入れ歯・かぶせ物の認定医)の歯科医院。
入れ歯、特に部分入れ歯とかみ合わせを専門に勉強してきました。
現在ではインプラントと歯周病に力を入れております。
しかし、インプラントは外科治療であるがために、糖尿病・高血圧・高齢・その他全身疾患を持つ方は避けた方がよい場合があるのも事実です。
入れ歯、歯周病、インプラント、ホワイトニングに関するご相談のある方はご連絡下さい。