

ここにインプラントを入れること自体はそれほど難しい事ではありません。
しかし、なぜ、この歯が無くなったのでしょうか?
噛み合わせの分析を行いました。
普段上下の歯が合わさる位置ではなく、顎の関節や筋肉にとって噛みやすい位置で模型を咬合器という機器に装着しました。

左側面のアップです。

左下の一番奥の歯:親知らずが上の歯に当たって、他の歯がかみ合っていません。
あごの関節や筋肉にとって噛みやすい位置と、実際に噛める位置との間に大きなズレがあります。
以下の経過が考えられます。
1. 若い頃に1本左下の歯を無くし、不自由が無いためそのままにしておいた所、左下の歯並びが崩れてしまいました。
2. 筋肉や顎の関節にとって楽な位置で噛もうとすると、写真の様にかみ合いません。
3. そこで顎を無理に右にズラして、左のぶつかりを避けて、上下の歯を合わせようとします。
4. その為、右の歯ばかり使う様になります。
5.結果、右の奥歯が負担過剰でダメになってしまいました。
ご本人にうかがった所、まさにその通りでした。
右のこめかみや頬・首筋が痛くなる事はありますか とうかがった所、これもその通りでした。
左の親知らずを調整した所、顔と首筋の筋肉の圧痛が軽減しました。
可能ならば矯正治療をした方が良いです。
しかし、予算と期間に限度はあります。
インプラントはできるが、他の歯よりも大きな力がかかり、使用頻度も他の歯より大きいので、普通の方よりも耐用年数が短い事、インプラントと噛み合っている歯にも大きな力がかかる事を説明の上、矯正治療をせずにインプラントをする事になりました。
インプラントのもち(耐用年数)は歯医者の技術だけではなく、歯並び・噛み合わせが大きく関係している事をご理解お願いいたします。