
リーマーによって中の汚染物質を除去すると、歯の中は空洞となります。
空洞のままにしておくと、そこがバイ菌の培地となってしまい、歯の根の先に再び膿み袋を作ってしまいます。
そこでガッタパーチャという薬を緊密に詰め、空洞を封鎖します。
バイ菌の繁殖地をなくしてしまうということです(下図参照)。
写真でピンクに見えるのが根管に詰めたガッタパーチャです。


薬を根の先までしっかり詰めると、やはりチクッとした圧迫感を感じます。
そして2〜3日、歯が浮いて、咬むと響くような感じがします。長い方で1ヶ月くらい続きます。しかし、それもしっかり薬を詰めた証拠でもあるのです。
「神経ない歯が痛む。神経を取り残しているのではないですか?」という不信感を持った事のある方もいらっしゃるでしょうが、歯の神経が痛みをだしたのではありません。ガッタパーチャという生体にとっては異物が歯の根の先の組織を圧迫したために痛み(圧迫感)を感じたのです。
爪切りをした直後に違和感を感じることがあります。しかし、爪に神経があるわけではありません。爪の周りが違和感を出しているのです。これと同じです。
この図では神経の管がきれいに1本だけですが、実際には目には見えない細かい管が無数に存在します。
この1本の管が幹線道路とするならば、住宅街の路地のように細かく分岐しています。
そのためレントゲンでガッタパーチャがきれいに詰めている様に見えても、残念ながら膿み袋が再発することがあるのです。
およそ医療行為は病気であるよりはましですが、病気になる前の何の問題も無い健康状態に戻る訳ではない事を御理解下さい。
病気(虫歯・歯周病)にならないための予防が一番だと思います。
根管治療は歯の中の掃除であり、外から見ても形に変化が無いため、患者様は「本当に治療が進んでいるの?」と不信感を持ってしまうことがあります。
しかし、この治療は家でいう所の基礎工事であり、基礎さえしっかり作っておけば頑丈な家(被せ物)が出来上がります。
では、膿み袋はどのようになっていくのでしょうか。(この写真は別症例)

2004年11月

2007年1月
骨ができてきているのがお分かりいただけるでしょうか。
ただし、この症例は歯の根の中の問題(感染根管)ではなく、歯周病の問題かもしれませんし、あるいはその両方かもしれません。
「早く、安く」ばかりに価値観をおくのではなく、回数がかかるその意味をなにとぞ御理解下さい。
(耐震偽装建築は工期が早くしかも廉価であり、バレさえしなければ高い評価を受けていました。)
オペラデンタルオフィス 日本補綴歯科学会認定医
静岡県浜松市にある日本補綴歯科学会認定医(入れ歯・かぶせ物の認定医)の歯科医院。
入れ歯、特に部分入れ歯とかみ合わせを専門に勉強してきました。
現在ではインプラントと歯周病に力を入れております。
しかし、インプラントは外科治療であるがために、糖尿病・高血圧・高齢・その他全身疾患を持つ方は避けた方がよい場合があるのも事実です。
入れ歯、歯周病、インプラント、ホワイトニングに関するご相談のある方はご連絡下さい。
私もいつも保険の点数と患者さんの無理解に頭を悩ませながら歯の中をゴソゴソとやっています。
あの時、根治は歯科医の良心であるなどという話さえ聞かなかったらと毎日悔やんでいます (笑)。同時に、当たり前のことをチャンとやると収入が減るのですから、この職業に未来は無いと思うときもあります。
右を見ても左を見ても姉歯さん波の根治ばかりですからね。
同じように悩み、そして頑張っている先生が全国にいらっしゃると思うと、自分もしっかりせねばと勇気付けられます。
天下の名医になることは難しいですが、姉歯建築の様にはならない誠実な治療をやっていこうと思います。