そして、その保護者の方と話をすると、しばしば耳にする言葉があります。それは
「以前、たいしたことない虫歯なのに、大きく削られたことがある。」
という言葉です。
歯医者の立場から申しますと、わざわざ大きく削るということはないと思います。
大きく削ろうと小さく削ろうと、診療報酬にそれほど差はありません。大きく削って材料費や技工費・手間がかかる方が大変です。
ではなぜ大きく削ることになるのでしょうか?
この写真では小さな穴があいています。

しかし実際削るとこれくらい穴があいています。

レントゲン写真です。矢印の指す黒い影が虫歯です。

歯の表面はエナメル質という物質で覆われています。 そして歯の内部は象牙質という物質で作られています。
この象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、エナメル質にあいた小さな穴から虫歯菌が象牙質に到達すると、内部で大きく虫歯が進行してしまうのです。
歯科治療はその回数や治療期間・歯を削る量などで、不満を感じる方が大勢います。しかし、そのようにしなければならない理由というのも必ずあります。
私は家を建てる時や生命保険に入る時、様々な不信や不満がありました。
しかし、身内にその業界で働く人がいたため、その不信や不満が素人判断の誤ったものであることを知ることができました。
歯科治療も同様だと思います。
患者さんにとって都合の良い「早い・安い・削らない・回数が少ない」治療には、本職の人が見て、疑問に思う場合があることをご理解下さい。