1本歯がありません。ブリッジにすると両脇の歯を削らなければならないのでインプラントを希望されました。

骨に高さはあるのですが、側面の厚みが足りないと思われるため、念のためにCT(断層撮影)を行い、画像分析しました。

ピンクの板の部分の断層図が下記のものです。

たしかにインプラントは入ります。
しかし、インプラントの周りの骨の厚みは2ミリ未満でした。
インプラントの周囲に2ミリは骨に厚みがないと、経年的に骨が無くなってインプラントが露出しやすいと言われています。
骨を作ろうとすると、腫れや痛みが出やすくなります。
患者さんには、そのメリット・デメリットを説明の上、骨を作ること(GBR)に同意を受けました。

CTで診たよりも、骨に厚みが少なかったように思えます。
インプラントの先のほうには、全く骨がありません。

人工骨を置き、その上に骨が散らばらないよう吸収性の膜を置き、歯ぐきを閉じました。

インプラントは綺麗に入っています。
側面への増骨は今までの経験上、成功することでしょう。
インプラント手術後の腫れや痛みは個人差が非常に大きいのですが、感覚的には8:2くらいでそれほど痛みや腫れの無い人の方が多いと思います。
しかし、骨を作る治療をするために、大きく歯ぐきをめくった方の場合、腫脹・疼痛を訴える割合は高まると思います。
1本だけの骨作りであったにもかかわらず、この方の場合はかなり腫れがでてしまいました。また内出血斑(青あざ)もでてしまいました。
痛みはほとんど無いとのことです。
事前に予想され説明してあり、なおかつ必ず治るという事がわかっているとはいえ、患者さんも医者もいい気分ではありません。
良いことばかりを報告するのは、フェアでは無いと思い、腫脹について報告いたしました。
人の体の性質には個体差が大きく、いつでも同じ結果がでるとは限りません。
なかなか治療がうまくいかない時、患者さんに隠すことなく、正直に説明するように当医院では努めております。