X線写真と、それに説明のために線を書き込んだものです。


歯の根の先に大きな膿袋があります。体積にして奥歯(大臼歯)3本分くらいありました。
顎の骨の内部が奥歯3本分空洞になってしまっているのです。
これを 歯根嚢胞(しこんのうほう)といいます。
厳密には歯根肉芽腫(しこんにくげしゅ)かも知れませんが、レントゲンで判別することはできません。
実はこの膿袋自体はそれほど珍しいものではありません。
神経を取った歯には数多く見られます。
しかし、これほど大きなものはあまり見られません。
歯のかぶせ物をはずして歯の根の中の掃除(根管治療1 根管治療2)をするのが一般的なのですが、ぐらつきがひどく、かぶせ物をはずす力にさえ耐えられなかったため、抜歯させて頂きました。
しかし、ただ抜歯しただけでは膿袋は消えません。
顎の中で膿袋が残ってしまうのです。
これを 残存嚢胞(ざんぞんのうほう)と言います。
膿袋を骨の中に残してはいけないので、徹底的に除去します。
抜歯は5秒で終わりますが、嚢胞除去に5〜10分くらいかかります。
しかも、麻酔が効きにくいことがあるので手間がかかります。
本日の写真です。

膿袋だった所に骨が再生されてきました。
「虫歯だけれども痛くなければ、そのままにしとこう」とか、「医学は進んでいるから何とかなるよ」とはあまり思わないで下さい。
時間の経過とともに治療は難しくなりますし、治療結果も悪くなります。
定期的に歯科医院にいらして、チェックと歯の掃除をしましょう!
予防に勝る治療は現代においてもないのです!!