子供の矯正治療を開始する時期を保護者の方から聞かれることが多いです。
私は 小学校3〜4年生がベスト と思っております。
一般の方・保護者の方は前歯の並びを見て、治療すべきかどうかを考えます。
しかし歯科医師は、奥歯の咬み合わせを診て、治療すべきかどうかを考えます。
受け口・左右方向へのずれ・上下の真ん中がそろっていない などは一般の方・保護者の方でもわかります。しかし、出っ歯・下顎の後退は小学校の間は目立ちません。上記の様な子はやはり治療を開始した方が良い結果が出やすいです。
小学校3〜4年生から治療をする欠点もあります。それは 治療期間が長くなりがちであること です。小学校6年〜中学1年で歯並びは完成しますが、小学校3〜4年生から治療をした場合、それでもきれいに並びきらないことがあります。
では、もしこのような子を小学校3〜4年生の時は様子見にして、中学1年から治療開始したらどうでしょう。歯並びは治るでしょう。しかし、顎の骨の形態の左右差・顎の関節の位置のズレは残ったままかもしれません。
車を想像して下さい。いくら外見が良くても車軸がずれていたらどうなるでしょう。うまく車を走らせることはできません。ドライバーのテクニックでまっすぐ走らせても、他の箇所に負担がかかって、あちこちに故障が生じます。
小学校3〜4年生から始める矯正治療は、見た目をよくすることを目的とするのではなく、顎関節や骨の形態を正しい方向に導くこと、顎の成長発育不全を改善することを目的とするとお考えください。
術前

術直後

1か月後

半年後

11か月後

歯の根が完成していないので、歯にワイヤーは掛けません。
顎の成長発育の方向を変え、ワイヤーを使わずにとりあえず受け口を治します。
歯の根が完成したら、ワイヤーをかける予定です。